ぎっくり腰
日常生活を送る中で、ぎっくり腰という言葉は、誰しもが聞いたことのある言葉です。
しかし、腰が痛くなる事はわかっていても、実際どのような状態になっているか詳しい人は少ないと思います。
そこで今回はぎっくり腰について説明していきます。
ぎっくり腰は、医学的に『急性腰痛』や『腰痛症の急性増悪』などという病名で表記されます。
代表的な原因は3つ
①筋筋膜性腰痛(きんきんまくせいようつう)
②椎間関節性腰痛(ついかんかんせつせいようつう)
③椎間板性腰痛(ついかんばんせいようつう)
があります。
①筋筋膜腰痛とは、筋肉や筋膜が、何らかの原因で損傷や筋緊張を起こした状態です。
重いものを持ち上げた時や、繰り返しの動作などで筋肉の疲労や損傷、過緊張で強い痛みが出た状態です。ほとんどの腰痛はこの腰痛に分類されます。c
主に病変を起こしやすい筋肉は、
脊柱起立筋に分類される、最長筋、腸肋筋
腰部の外側に存在する、腰方形筋
腰部の最深部に存在する多裂筋
などが原因となることが多いです。
②椎間関節性腰痛
腰椎(脊椎)には関節があります。
身体の関節には動きやすい方向というものがあります。
脊椎の関節の中で、首の頸椎では、回旋(振り向くような動き)を行いやすいような構造をしています。
胸椎(背中)では、回旋(体幹を捻じる動き)と屈伸(曲げる伸ばす)を行いやすいような構造
腰椎(腰)では、屈曲、伸展が主に行いやすい構造です。※腰椎には回旋方向(体幹を捻じる動き)は構造上行いづらい。
このことから、腰椎は回旋方向への動きを苦手としています。
重いもの持ち上げる時に、回旋の力が加わることで『椎間関節性腰痛』を発症するケースが多いです。
関節性の痛みのため、非常に症状が重く長引く傾向にあります。
③椎間板性腰痛
腰椎には椎間板という軟骨が存在します。この軟骨は、脊椎の負担を軽減するクッションの役割をしています。
椎間板性腰痛はその軟骨繊維に傷や亀裂が入るような状態(レントゲン等では映らない)により強い痛みが出現する。
椎間板の中には、髄核というゼリー状のものがあります。
過度な負荷により髄核が外に飛び出た状態を椎間板ヘルニアといいます。
これらは運動器系の異常によって起こる主な腰痛です。
稀なケースでは内臓器系の疾患によりぎっくり腰のような強い腰痛が起こることがあります。
尿管結石:腎臓から膀胱までを繋ぐ尿管に結石が詰まる状態です。強い腰痛や腹痛など症状は様々です。
腎臓の疾患:腎盂腎炎など腎臓で何かしらの疾患がある場合、背部から腰部の上の方に痛みが出現することがあります
膵臓の疾患でも左の背部から腰部にかけて症状を訴える方もおられます。
これらの腰痛は、問診、理学検査で原因が特定できます。
内臓器系の疾患は検査や治療が遅れると予後が悪くなります。
当院でも問診、検査ができますのでご相談お待ちしております。
但し、問診、理学検査の結果、医療機関にて精密検査(MRI、CT、血液検査等)をおすすめする場合がございます。